パーソナルトレーナー竹田大介のトレーニング研究ブログ

トレーニングに関する学術論文レビューを書いています!

一側性および両側性の動的脚伸展パワーの違いと動作速度によるBLD(両側性機能低下)の検証

こんにちは!パーソナルトレーナーの竹田大介です。

 

このところ多忙を言い訳に論文レビューをサボっておりました(^_^;)

 

本日は、「両脚が発揮する力と右脚・左脚がそれぞれ発揮する力の和ではどちらが大きいのか?それは動作速度に依存するのか?」という疑問を解決するために、下記の論文をレビューしてみたいと思います。

 

一側性および両側性による動的脚伸展動作からみたBilateral deficit(山内,高橋.2011)

 

研究の背景

両脚を同時に発揮した際の筋力(両側性)は、左右脚を個々に発揮する筋力の和(一側性)と比較して低くなることが報告されている(bilateral deficit=両側性機能低下:BLD)が、一側性動作を遂行するスポーツ競技者を対象にBLDの動作速度依存性を検証した事例はない。スポーツ競技者の一側性動作による筋発揮特性を検証することによって、スポーツトレーニングに繋がる有益な情報が得られる可能性が期待できる。

 

対象者

男子体育専攻学生46名(平均年齢20.7±2.0歳、平均身長172.1±5.4cm、平均体重66.6±6.9kg)

※週5日以上の学生競技スポーツ(陸上競技、サッカー、アメリカンフットボール、ソフトボール)を行っている者

 

測定機器

油圧式等速性レッグプレスマシン(LEGPOWER、竹井機器)

 

測定手順

レッグプレスマシンのシートに座り、両腕を胸の前で組んだ姿勢で、最大随意収縮(MVC)による動的脚伸展動作を行った。動作開始は膝関節屈曲位90度、動作終了を膝関節最大伸展位までとした。試技は、両脚同時伸展、左脚伸展、右脚伸展の動作で2回、設定速度0.2m/s、1.0m/sの2速度で行った。

 

結果

左脚・右脚のパワー 両速度において左右差は示されず

0.2m/s 左脚 3.9±0.6w/kg 右脚4.0±0.5w/kg

1.0m/s 左脚 12.5±1.7w/kg 右脚12.6±1.6w/kg

 

両側性パワーと一側性パワー 両速度において一側性よりも両側性で有意に低い(P<0.001)

両側性パワー 0.2m/s 7.2±1.2w/kg 一側性パワー 0.2m/s 7.9±1.1w/kg

両側性パワー 1.0m/s 20.3±4.1w/kg 一側性パワー 1.0m/s 25.1±3.2w/kg

 

BLD 高速動作中のBLDが有意に高い(P<0.001)

0.2m/sBLD 8.9±7.7%

1.0m/sBLD 19.5±9.4%

 

まとめ

異なる2速度(0.2m/s,1.0m/s)によって両側性・一側性の動的脚伸展動作を行い、脚伸展パワーからBLDを求めた。いずれの動的脚伸展動作においても、両側性伸展パワーが一側性伸展パワーよりも顕著に低い値を示しBLDが確認された。さらに動的脚伸展動作のBLDは、動作速度の増加に伴い高い値を示し、動的脚伸展動作中のBLDが動作速度に依存することが確認された。

 

トレーニングへの応用

この研究では、被験者に一側性競技選手のみを用いているため、両側性競技選手でも同様の結果が出るとは言い切れませんが、一側性競技を行うアスリートでは両側性脚伸展パワーより一側性脚伸展パワーの方が有意に高いことが明らかになっています。このことから、一側性競技選手のトレーニングでは一側性脚伸展動作種目でより高い負荷がかけられ、より強度の高いトレーニングが実施できると考えられます。

両脚での基本種目にプラスして片脚でのスクワット種目等をトレーニングに取り入れることで、両脚スクワットのみを行う場合より高強度のトレーニングを実施でき、競技に必要な一側性脚伸展パワーを高められるでしょう!

 

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参考文献

山内亮,高橋流星:一側性および両側性による動的脚伸展動作からみたBilateral deficit.日本体育大学紀要:40(2):89-92,2011

 

 

 

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