パーソナルトレーナー竹田大介のトレーニング研究ブログ

トレーニングに関する学術論文レビューを書いています!

スプリットスクワットの前後開脚幅でトレーニング効果はどう変わるか?

前回の記事「一側性および両側性の動的脚伸展パワーの違いと動作速度によるBLD(両側性機能低下)の検証」で一側性競技を行うアスリートでは両側性脚伸展パワーより一側性脚伸展パワーの方が有意に高いことが分かりましたが、今回は左右の脚が別の動作を行う「スプリットスクワット」について、前後に開脚する幅の違いがトレーニング効果に影響を及ぼすのか?という疑問を解決するために下記論文をレビューしてみたいと思います。

 

前後開脚スクワットに関するバイオメカニクス的研究ー前後開脚幅に着目してー(鈴木,藤井,阿江.2007)

 

研究の背景

 

 下肢トレーニングの「強化の柱」スクワット運動は一般的に両脚を揃えて行われており、従来の研究においても両脚スクワットを対象にしたものが多いが、両脚スクワットでは股関節屈筋群に大きな負荷を加えることができない。

 前後開脚スクワットは後脚股関節は伸展位で屈曲トルクを発揮していると考えられることから、両脚スクワットでは強化できない筋に対してもトレーニング効果があると期待されている。

 しかし、前後開脚スクワットにおいて動作形態を変化させ、その効果を明らかにした研究は少なく、支持脚(前脚)の関節角度変化に着目したものにとどまっている。

 本研究では、前後開脚スクワット特有の動作形態の一つである脚を前後に開く幅の違いが、下肢関節トルクの発揮および筋活動へ及ぼす影響を検討し、トレーニングを行う際の基礎的知見を得ることを目的とした。

 

研究方法

被験者:大学の陸上競技部に所属する男子競技者8名(身長1.73±0.02m,身体質量67.1±5.2kg)

後脚の支持面の高さ:前脚の支持面の高さと同じ高さ

身体質量の50%に相当する質量35kgのバーベルを肩甲骨上縁の上で担いだ状態で実施

左右開脚幅:肩幅と同程度

下降開始から挙上終了まで1.5秒に設定

前脚の大腿が床面と並行になるまで下降

 

結果

動作形態の比較

 前後開脚幅を下肢長の100%としたNarrow stance squat ※以下、NSS

  膝関節を前後に移動させながらスクワット動作を行っていた

 前後開脚幅を下肢長の120%としたWide stance squat ※以下、WSS

  前脚の膝関節を足関節の真上付近で保持しながらスクワット動作を行っていた

 

キネマティクスデータ

 前脚 バーベル高の最下時点での足・膝関節角度 WSS>NSS (P<0.05)

                股関節では有意差なし

 後脚 バーベル高の最下時点での膝・股関節角度 WSS>NSS (P<0.05)

                足関節では有意差なし

 

地面反力データ

 地面反力最大値:前脚、後脚ともに鉛直成分・水平成分に有意差なし

 

関節トルク

 前脚 膝関節トルクの平均値:WSS<NSS(P<0.05)

    股関節トルクの平均値:WSS>NSS(P<0.05)

 後脚 膝関節トルクの平均値:有意差なし

    股関節トルクの平均値:WSS<NSS(P<0.05)

 

関節トルクによる力学的仕事

 前脚 膝関節屈曲トルク 正仕事:有意差なし 負仕事:有意差なし 

    膝関節伸展トルク 正仕事:有意差なし 負仕事:有意差なし 

    股関節伸展トルク 正仕事:有意差なし 負仕事:有意差なし 

 後脚 膝関節伸展トルク 正仕事:有意差なし 負仕事:有意差なし 

    股関節屈曲トルク 正仕事:有意差なし 負仕事:有意差なし 

    

EMG

 前脚 大腿二頭筋WSS>NSS(P<0.05)

    大腿直筋:WSS<NSS(P<0.05)

    中殿筋:有意差なし

    大殿筋:有意差なし

    外側広筋:有意差なし

 後脚 大腿直筋:有意差なし

    外側広筋:有意差なし

    脊柱起立筋:有意差なし

    長内転筋:WSS>NSS(P<0.05)

 

後脚股関節と地面反力ベクトルとのモーメントアーム長

 有意差なし

 

この結果をトレーニングに応用すると

 
 今回の研究では身体質量の約50%の負荷での結果のため、それ以外の負荷で同じ結果がでるとは言い切れませんが、この研究の結果をもとにトレーニングに応用できる部分をまとめてみましょう。

 前脚の股関節トルクがWSSの方が有意に大きくなっており、股関節伸展筋である大腿二頭筋のEMGもWSSの方が有意に大きくなっていることから、前脚の股関節伸展筋群を強化する目的の場合はWSSを用いましょう。

 前脚の膝関節トルクがNSSの方が有意に大きくなっており、膝関節伸展筋である大腿直筋のEMGもNSSの方が有意に大きくなっていることから、前脚の膝関節伸展筋群を強化する目的の場合はNSSを用いましょう。

 両脚でのスクワットでは大きな負荷を加えることができない股関節屈曲筋群を強化することが目的の場合は、後脚の股関節トルクがNSSの方が有意に大きくなっていることから、NSSを用いた方が良さそうです。しかし、後脚の大腿直筋のEMGに有意差が出ていないので、前後開脚幅をあまり細かく気にしなくても良いかも知れません(^o^;)

 指導の現場では、NSS・WSSを下肢長の100%・120%とキッチリ図って実施することは難しい場合もあると思いますので、「動作形態の比較」の結果を参考に、NSSの場合は前脚の膝関節が前後しているか、WSSの場合は前脚の膝関節が足関節の真上付近で保持されているかを確認しながら用いると良いでしょう!

 

 

 

 

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参考文献

鈴木俊輔,藤井範久,阿江通良: 前後開脚スクワットに関するバイオメカニクス的研究ー前後開脚幅に着目してー.トレーニング科学.19(4):377-388,2007

 

 

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一側性および両側性の動的脚伸展パワーの違いと動作速度によるBLD(両側性機能低下)の検証

こんにちは!パーソナルトレーナーの竹田大介です。

 

このところ多忙を言い訳に論文レビューをサボっておりました(^_^;)

 

本日は、「両脚が発揮する力と右脚・左脚がそれぞれ発揮する力の和ではどちらが大きいのか?それは動作速度に依存するのか?」という疑問を解決するために、下記の論文をレビューしてみたいと思います。

 

一側性および両側性による動的脚伸展動作からみたBilateral deficit(山内,高橋.2011)

 

研究の背景

両脚を同時に発揮した際の筋力(両側性)は、左右脚を個々に発揮する筋力の和(一側性)と比較して低くなることが報告されている(bilateral deficit=両側性機能低下:BLD)が、一側性動作を遂行するスポーツ競技者を対象にBLDの動作速度依存性を検証した事例はない。スポーツ競技者の一側性動作による筋発揮特性を検証することによって、スポーツトレーニングに繋がる有益な情報が得られる可能性が期待できる。

 

対象者

男子体育専攻学生46名(平均年齢20.7±2.0歳、平均身長172.1±5.4cm、平均体重66.6±6.9kg)

※週5日以上の学生競技スポーツ(陸上競技、サッカー、アメリカンフットボール、ソフトボール)を行っている者

 

測定機器

油圧式等速性レッグプレスマシン(LEGPOWER、竹井機器)

 

測定手順

レッグプレスマシンのシートに座り、両腕を胸の前で組んだ姿勢で、最大随意収縮(MVC)による動的脚伸展動作を行った。動作開始は膝関節屈曲位90度、動作終了を膝関節最大伸展位までとした。試技は、両脚同時伸展、左脚伸展、右脚伸展の動作で2回、設定速度0.2m/s、1.0m/sの2速度で行った。

 

結果

左脚・右脚のパワー 両速度において左右差は示されず

0.2m/s 左脚 3.9±0.6w/kg 右脚4.0±0.5w/kg

1.0m/s 左脚 12.5±1.7w/kg 右脚12.6±1.6w/kg

 

両側性パワーと一側性パワー 両速度において一側性よりも両側性で有意に低い(P<0.001)

両側性パワー 0.2m/s 7.2±1.2w/kg 一側性パワー 0.2m/s 7.9±1.1w/kg

両側性パワー 1.0m/s 20.3±4.1w/kg 一側性パワー 1.0m/s 25.1±3.2w/kg

 

BLD 高速動作中のBLDが有意に高い(P<0.001)

0.2m/sBLD 8.9±7.7%

1.0m/sBLD 19.5±9.4%

 

まとめ

異なる2速度(0.2m/s,1.0m/s)によって両側性・一側性の動的脚伸展動作を行い、脚伸展パワーからBLDを求めた。いずれの動的脚伸展動作においても、両側性伸展パワーが一側性伸展パワーよりも顕著に低い値を示しBLDが確認された。さらに動的脚伸展動作のBLDは、動作速度の増加に伴い高い値を示し、動的脚伸展動作中のBLDが動作速度に依存することが確認された。

 

トレーニングへの応用

この研究では、被験者に一側性競技選手のみを用いているため、両側性競技選手でも同様の結果が出るとは言い切れませんが、一側性競技を行うアスリートでは両側性脚伸展パワーより一側性脚伸展パワーの方が有意に高いことが明らかになっています。このことから、一側性競技選手のトレーニングでは一側性脚伸展動作種目でより高い負荷がかけられ、より強度の高いトレーニングが実施できると考えられます。

両脚での基本種目にプラスして片脚でのスクワット種目等をトレーニングに取り入れることで、両脚スクワットのみを行う場合より高強度のトレーニングを実施でき、競技に必要な一側性脚伸展パワーを高められるでしょう!

 

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参考文献

山内亮,高橋流星:一側性および両側性による動的脚伸展動作からみたBilateral deficit.日本体育大学紀要:40(2):89-92,2011

 

 

 

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短期間の筋力トレーニングが体組成および精神的健康度に及ぼす影響

 

今回は、「看護女子学生における8週間の継続的運動が体組成,体力,および精神的健康度に及ぼす影響」という学術論文を基に、短期間の筋力トレーニングが体組成および精神的健康度に及ぼす影響について検討してみたいと思います。

 

この研究では、1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生を対象として、実験開始前にトレーニングについての講習会を実施し、実験中のトレーニングは被験者自らがどのトレーニングをどのくらい行うかを決める自主トレ的な形で進められています。

 

被験者

1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生 102名

(平均年齢18.2±0.1歳 18~20歳)

 

結果

身体活動量

介入前:0.9±0.2METs時/週

介入中:6.6±0.7METs時/週

(P<0.0001)

 

体重

変化なし

 

体脂肪率

介入前:26.8±0.5%

介入後:24.9±0.5%

(P<0.01)

 

全身筋肉率

介入前:69.1±0.5%

介入後:70.8±0.4%

(P<0.01)
 

体力テスト

長座体前屈 107±1% P<0.0001

上体起こし 107±1% P<0.0001

握力    107±1% P<0.0001

反復横跳び 103±1% P<0.0001

立ち幅跳び 101±1% P<0.04

 

精神的健康度(アンケート調査)

P<0.05

 

まとめ

8週間の筋力トレーニングにより体脂肪率は減少し全身筋肉率が増加していますが、体重に変化はありません。体力テストの結果が向上し、アンケート調査により精神的健康度も向上しています。

私の主観的感想

この研究ではコントロール群(トレーニングを行わない群)との比較ができていないため、上記結果が今回のトレーニング介入による結果であると言い切ることはできませんが、被験者は普段「1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生」なので、実験でのトレーニング介入以外に身体活動量が増える要因がなかったものと仮定して感想を述べてみましょう。

今回、トレーニング介入により体脂肪率が減少して全身筋肉率が増加しているのに体重に変化はありませんでした。これは、体脂肪量が減少したのと同程度筋肉量が増えたと考えられます。筋肉量が増えたことで、体力テストの結果が向上したのでしょう。この研究ではトレーニング介入以外に食事制限等は行なわれていませんので、8週間の筋力トレーニングで体脂肪を減らし筋肉量を増やすことはできても、大幅に体重を減らす効果は見られないということが分かります。これがもっと長期間の実験であればまた違った結果がみられた可能性はありますが、「体脂肪」だけでなく「体重」を「短期間」に減らすためには筋力トレーニングだけでは不十分で、食事制限と合わせて行っていく必要があると思います。しかし、短期間に大幅な体重減を成功させるためにはカロリー収支をマイナスにする必要がありますので、そうすると筋肉量を増やすことは難しくなってしまいます。一般の方のダイエットであれば、例えば「8週間後の結婚式に向けて何が何でも体重を落としたい!」という場合は食事制限を取り入れる必要がありますが、「引き締まったカラダをつくり、長期間維持したい!」のであれば、極端な食事制限は行なわず、カロリーオーバーにならない範囲で栄養バランスのとれた食事をしながら筋力トレーニングで筋肉量を増やし少しづつ体脂肪を減らしていく方法がよいでしょう!

また、今回の研究では「精神的健康度」というものも見ています。今回の研究では介入前後での統計学有意差が5%未満で有意に精神的健康度が向上しています。これは、トレーニングがストレスにはなっておらず、楽しんで実施できていたということではないでしょうか。やはり、トレーニングを長く続けていくには、楽しみながら行うことが大事ですね!(^^)!

 

 

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参考文

山崎文夫,山田寿男,森川幸子(2013):看護女子学生における8週間の継続的運動が体組成,体力,および精神的健康度に及ぼす影響.J UOEH 35(1):51-58.

 

 

 

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スクワットのフォームでトレーニング効果がどう変わるか?

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こんにちは!パーソナルトレーナーの竹田大介です。

 

トレーニングの王様「スクワット」ですが、目的通りの効果を得るためには、それに合わせたフォームで行わなければなりません。

 

 

今回は、スクワットのフォームでトレーニング効果がどうかわるか?という疑問を解決するために「動作形態の異なるスクワットが股関節と膝関節まわりの筋の活動および関節トルクに与える影響」という学術論文をレビューしてみます。

 

この研究は、運動部所属の大学・大学院男子10名を被験者に用いて、膝関節主導型スクワット、股関節主導型スクワット、その中間のノーマルスクワット 3種類のスクワットを1RM(最大挙上重量)の60%で両脚で行い、下降局面・挙上局面で実験を行っています。

 

結果

 

○EMGデータ(統計学有意差が認められた被験筋のみ掲載)

下降局面

・脊柱起立筋 股関節主導型スクワット>膝関節主導型スクワット

・大腿直筋  ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

・外側広筋  膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

上昇局面

・脊柱起立筋 股関節主導型スクワット>膝関節主導型スクワット・ノーマルスクワット

・大殿筋   股関節主導型スクワット>膝関節主導型スクワット・ノーマルスクワット

・大腿直筋  膝関節主導型スクワット>ノーマルスクワット・股関節主導型スクワット

       ノーマルスクワット>股関節主導型スクワット

大腿二頭筋 股関節主導型スクワット>ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット

 

キネティクスデータ(各関節伸展トルク)

下降局面

・足関節   ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

・膝関節   ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

・股関節   股関節主導型スクワット>膝関節主導型スクワット

上昇局面

・足関節   ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

・膝関節   膝関節主導型スクワット>股関節主導型スクワット

・股関節   股関節主導型スクワット>ノーマルスクワット・膝関節主導型スクワット

 

ボディメイクに応用すると?

 

スポーツ競技に対する考察は論文でよく行われますが、ボディメイクに対する考察が行われている論文は見たことがありませんので、今回はあえてボディメイクのためのスクワットとして考えてみましょう!

 

この研究では1RMの60%の負荷を用いているため、それ以上もしくはそれ以下の負荷で同様の結果が得られるとは言い切れない部分もありますが、この研究の結果を用いてボディメイクのスクワットに応用してみましょう。

 

股関節主導型のスクワットでは他のスクワットより脊柱起立筋(体幹姿勢の安定)・大殿筋(お尻)・大腿二頭筋(腿裏)の筋肉により負荷がかかり、膝関節主導型スクワットでは大腿直筋(腿前)・外側広筋(腿前外側)に負荷がかかる様です。

 

この結果から、特に女性のお悩みとしてよくある、姿勢をよくしたい!ヒップアップしたい!腿裏を引き締めたい!という場合は股関節主導型スクワットを中心に、スクワットを行うとよいでしょう!

 

 

参考文献

 

真鍋芳明・横澤俊治・尾縣貢(2004)動作形態の異なるスクワットが股関節と膝関節まわりの筋の活動および関節トルクに与える影響.体力科学.53:321‐336.

 

 

 

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スクワットの挙上重量変化でトレーニング効果はどう変わるか?

今回は「キング・オブ・エクササイズ」ともいわれるスクワットについて、担ぐ重量でトレーニング効果がどう変わるかを知るために「スクワットの挙上重量変化が股関節と膝関節まわりの筋の活動および関節トルクに与える影響」という学術論文を簡単にレビューしてみます。

 

この研究では、普段からスクワットをトレーニングに取り入れている男子8名を被験者として、パラレルスクワット(スタンス幅:肩幅の140%)を試技に用いて、挙上局面のみを分析局面としています。

試技は1回、挙上重量は1RM(最大挙上重量)の90%、75%、60%の3試技を比較しています。

 

結果

A.キネマティクスデータ

平均挙上時間

90%が75%・60%に比べてに有意に長く、挙上重量の増大にともない挙上時間も長くなる

※下肢三関節の関節角度は有意差なし

 

B.EMGデータ

・脊柱起立筋・大腿二頭筋

90%が60%に比べて有意に高い

・大殿筋

90%が75%・60%に比べて有意に高い

・中殿筋、大腿直筋、内転筋、外側広筋、腓腹筋では試技間に有意差なし

 

C.キネティクスデータ

各関節伸展トルク

・股関節

90%が75%・60%に比べて有意に高い

・膝関節

90%が60%に比べて有意に高い

・足関節

有意差なし

 

各関節平均仕事量

・股関節

90%が75%・60%に比べて有意に高い

下肢の総仕事量に対する股関節仕事量の割合は、90%が60%に比べて有意に高い

※膝・足関節では有意差なし

 

まとめ

この研究ではスクワットの挙上局面のみを分析局面としているため、下降局面の結果が分からないのが残念なところですが、以下のことが明らかになりました。

この研究の結果から、スクワットで担ぐ重量が重い(90%)方が挙上に時間がかかり、脊柱起立筋・大腿二頭筋・大殿筋の筋活動量が大きく、股関節・膝関節伸展トルクが増大し、下肢三関節では股関節の貢献が大きくなることが分かりました。

 

トレーニングへの応用

スクワットを実施する人が、日ごろからスクワットをトレーニングに取り入れているのであれば、この研究結果をトレーニングに応用することができるでしょう。

スクワットで脊柱起立筋(背中の姿勢保持や上体を起こす筋肉)や股関節伸展筋群(お尻・腿裏の筋肉)をしっかり鍛えたい場合は、90%1RM程度の高重量を用いて実施するとよいでしょう!

※スクワットのやり方についてはこちらをご覧ください!


キング・オブ・エクササイズ スクワットを習得しよう [空手] All About

 

参考文献

真鍋芳明・横澤俊治・尾縣貢(2003)スクワットの拳上重量変化が股関節と膝関節まわりの筋の活動および関節トルクに与える影響.体力科学.52:89‐98.

 

 

 

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All About(オールアバウト)公認ガイドブログをはじめました!

みなさん、こんにちは!

All About 空手ガイドの竹田大介と申します。

本職は、ゴールドジム渋谷東京を拠点にパーソナルトレーナーとして活動しております。

このブログでは主に、トレーニングに関する学術論文をレビューし、要点をまとめて一般の方にも分かりやすい形で記事にすることにより、科学的根拠に基づいたトレーニングをトレーニング実践者のみなさんへご紹介していきたいと思いますので、トレーニングを日々実践しているトレーニーやアスリートの皆様、また論文を読むのが苦手なトレーナー・運動指導者の皆様にぜひ読んで頂き、日々のトレーニング・トレーニング指導にお役立て頂ければと思います。

 

宜しくお願い致します。

 

 

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